ダルビッシュがサイ・ヤング賞を獲るために必要な、5つのファクター

サイ・ヤング賞の投票で2位に入ったダルビッシュ

saiyang
ダルビッシュとシャーザーの今期比較

 究極の目標には何が必要か。レンジャーズのダルビッシュ有(27)は今季、13勝9敗、防御率2・83の成績を残し、サイ・ヤング賞の投票で2位に入った。21勝を挙げたタイガースのマックス・シャーザー(29)が断トツの203ポイントで受賞したものの、2年目で日本人過去最高の93ポイントを獲得したダルビッシュの成績も堂々たるものだった。ただ、日本人初受賞が見えていただけに、悔しさも残る。約1週間前に渡米し、現在は本拠地のテキサス州アーリントンで、8月半ばから悩まされていた腰部の神経障害の検査を受けている右腕にとって、快挙に必要なものは何か。キーとなるファクターを分析してみたい。

【1】万全の肉体

 神経障害をしっかりと治療し、100%の状態で2月のキャンプに入ることが、まずは最低条件となる。今季は8月18日以降の9試合で、わずか1勝(4敗)と白星に恵まれなかったが、実はその裏で故障にも苦しめられた。8月24日のホワイトソックス戦では、突如、投球フォームが崩れ「両足がつっていた」と7回で降板。すでに113球に達してはいたが、体調管理に細心の注意を払う右腕には珍しい出来事だった。さらに9月9日にも、リードを許していた7回に自己最少の81球で「つりそうになった」とマウンドを降りている。

 当初は明かさなかったが、シーズン後半は脚に力が入らない状態が続いていたという。その原因が神経障害だった。そんな中でもこれだけの成績を残したダルビッシュの能力は、やはり計り知れない。シーズン終了直後には炎症を抑える注射を打ち、今後は患部周辺の強化を継続する予定で、オフ中での完治を目指す。

【2】女房役との信頼構築

 正捕手だったA・J・ピアジンスキーがFAとなったため、レンジャーズは新たな捕手の獲得に動いている。最有力候補として名前が挙がっていたのが、ブレーブスをFAになったブライアン・マッキャンだ。打撃がよく、29歳という若さも魅力で、実際に加入となれば、ダルビッシュの強力な援軍となるはずだった。だが、ここにきて同選手はヤンキースと合意したと報じられており、好捕手の獲得が実現するかどうかは不透明となっている。ただ、いずれにせよ、新たな女房役はダルビッシュにとって必要と言えるだろう。

 今季序盤は「メジャーで(選手から)最も嫌われている」とされているピアジンスキーと息の合ったところを見せていたが、9月4日のアスレチックス戦で突然、アクシデントがあった。お互いにイライラを隠せず、マウンド上で口論のような形になったのだ。その後、2人がクラブハウスなどで仲良く話す姿は見られたものの、首脳陣が気を遣い、ダルビッシュは昨季の「専属捕手」だったジョバンニ・ソトとバッテリーを組むようになった。口論の原因は、制球を乱していた右腕がフラストレーションをため込み、女房役に無礼な態度を取ったため、と報道されていた。ただ、マウンドに向かったピアジンスキーがダルビッシュをバカにするような言葉を発したことが本当の理由とも言われている。ソトの残留は決まっているものの、打撃が良くないため、先発すれば攻撃力が低下する。現状では新たな正捕手の獲得が理想的で、その場合は、ダルビッシュもコンビネーションの確立が必要不可欠となる。

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