続出する一発サイン なぜ契約更改で「保留」が減ったのか
以前は「お前が投げた試合には客が入らない」と言われて激怒した投手も
過去には金額提示に納得がいかずに保留して帰った選手を球団側が呼び戻してサインをさせたケースや、逆に最初からサインをするつもりはないと選手が判子をもってこないなど、球団と選手の力関係によって、契約更改の場で様々な駆け引きが起こり、話題を呼んだ。交渉中に、フロント関係者の携帯電話が鳴ったため、不信感を抱いて保留した選手や、「お前が投げた試合には客が入らない」と言われて激怒した投手もいて、そのような逸話は今でも語り継がれている。
契約更改の合理化、効率化が図られるのは自然の流れであり、結果的に、球団も選手もスマートな印象をもたれるようになった。ただ反面で、契約更改で昔ほど当事者の喜怒哀楽が見られなくなっていているのは少し寂しい気もする。会見の場でのコメントやパフォーマンスに垣間見える人間臭さのようなものが、ファンの共感を呼ぶことも多々あったからだ。今後も続くであろう一発サイン。その裏で繰り広げられているドラマも、たまには見てみたいと思うファンも少なくないだろう。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count