マー君にも朗報? 黒田の残留がヤンキースに与える付加価値
何が何でも黒田を残したかった
どんなに補強を続けようと、黒田博樹投手(38)への愛情は変わらなかったようだ。今季、シーズン終盤に息切れするまでエース級の活躍を見せた右腕とヤンキースが、1600万ドル(約16億3000万円)の単年契約に合意したことが、6日に米国内で一斉に報じられた。逆襲へ向け、何が何でも黒田を残したかった――。このニュースからは、メジャー随一の名門球団が並々ならぬ意気込みを持っていたことが伝わってくる。
ヤンキースは来季、“贅沢税”を避けるために選手の総年俸を規定限の1億8900万ドル(約194億6800円)に収める方針とされていたが、実際にはFA選手の精力的な補強を続けている。まずはブレーブスで確固たる地位を築いた捕手のブライアン・マッキャンを5年8500万ドル(約87億5500万円)で獲得すると、宿敵レッドソックスで不動のリードオフマンだったジャコビー・エルズバリーとも7年5300万ドル(約156億6000万円)という衝撃的な大型契約を結んだ。
さらに、ロビンソン・カノとの契約延長交渉が破談に終わったことで予算が浮いたのも後押しし、6日には黒田と今季の1500万ドル(約15億4600万円)を上回る額で合意し、カルロス・ベルトランとも3年4500万ドル(約46億3000万円)でサイン。ただ、黒田との再契約に関しては、カノの移籍は一切、関係なかったようだ。それだけ、右腕の“帰還”を望んでいた。
ヤンキースはすでに、黒田に対してワールドシリーズ終了直後に2年連続となる「クオリファイング・オファー」を出し、拒否されていた。ただ、これは想定内だった。メジャーの年俸上位125人の平均で割り出される「クオリファイング・オファー」の今季規定額は1410万ドル(約14億5200万円)。まだ返答待ちだった11月中旬のGM会議中に、ブライアン・キャッシュマンGMは「今年に関しては、彼の年俸よりも規定額の方が安いわけだから、仕方がない。たとえ彼が却下したとしても、更なる対話を試みたい」と話していた。そして、その言葉通りに金額を上乗せして、残留オファーを出し直したわけだ。