広島が人的補償で選ぶのは誰? 球団が高く評価する左腕たち
広島が高く評価する3人の左腕
一人目は、阿南徹投手(29)。昨年まではほとんど名前も出てこなかった投手である。オリックスに2009年のドラフト5位で入団。城西大学-日本通運を経てプロ入りした。しかし、泣かず飛ばずの成績で、1年目の2010年は17試合登板したが未勝利。その後も2軍暮らしが続いていた。
転機が訪れたのは昨年のオフだった。オリックスと巨人の間で、東野峻、山本和作-香月良太、阿南の2対2のトレードが成立。1軍経験の豊富な東野と香月のトレードとして注目され、プロ未勝利の阿南はそこまで着目されなかった。だが、巨人で先発に転向して状況が変化。投げ方を変え、球種を増やしたことで、2軍で成績を伸ばし始め、才能のつぼみが開いていった。
消化試合となったが、10月1日のヤクルト戦(神宮)でプロ初先発、初勝利をマーク。ピッチングスタイルはオリックス時代と変わり、軟投派のイメージから動く速球系を駆使する投手になった。巨人移籍後に力をつけた左腕は出番の多いチームにいけば、さらに才能を開花することができそうだ。広島はこの1年の成長に着目している。
2人目は公文克彦投手(21)。来季2年目となる左腕投手だ。大阪ガスからドラフト4位で入団し、即戦力の左腕として期待されていた。しかし、キャンプから怪我に襲われ、1軍で投げるチャンスがなかった。150キロ近いストレートには力があり、巨人にいても来年は中継ぎ陣争いに加わってくるだろう。チームが期待している存在であることや、2年目の選手をプロテクトにかけないことは今後のドラフト戦略、アマチュア球界との亀裂が生じる懸念もあることなどから、巨人がプロテクトをする可能性も十分にあるが、広島も力のある左投手としてリストアップしている。
3人目は星野真澄投手(29)。昨年、股関節の手術で育成契約を結んだが、今シーズン中に2軍で実戦復帰し、支配下登録選手にカムバックした。フェニックスリーグで視察した広島球団関係者は来季の星野の復活に手ごたえを感じたという。実績は少ないが、直球は150キロ前後を投げるなど、左投手が不足するカープにとっては大きな武器となる。
カープは選手を選ぶ際に低年俸であることを一つの指針としているが、3選手とも1000万円前後で問題はない。最終的に決定するのは広島の松田オーナーとされている。いずれにせよ、広島にとっては大きな補強となるのは間違いない。過去の歴史を見ても“開けてビックリ”ということも多かった人的補償が今回、果たして誰になるか、目が離せない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count