ヤンキース、ドジャースに有利? マー君の代理人をクロース氏が務める意味とは
田中の代理人を務めるクロース氏のキャリア
争奪戦のキーポイントになることは間違いない。楽天からポスティングシステム(入札制度)を利用してのメジャー挑戦を容認された田中将大投手(25)は、米国での代理人にケーシー・クロース氏を選んだ。何人ものスター選手を抱える大物代理人だが、スコット・ボラス氏、アーン・テレム氏といった日本でも名の知れている人物ではない。ただ、顧客リストの顔ぶれを見てみると、田中はどこと契約を結ぶのか、1つの方向性が示されている。これまでも本命と見られていたヤンキース、ドジャースという2つの球団が、有力候補として浮かび上がってくるのだ。
まずはクロース氏のキャリアを簡単に紹介しよう。学生時代に野球選手として名を馳せていた同氏は、1986年にドラフト7巡目でヤンキースに入団。しかし、1度もメジャーに昇格することなく引退している。すると、1992年にマネジメント会社入り。同年にヤンキースからドラフト1巡目(全体6位)で指名されたデレク・ジーターの代理人を翌1993年から務めた。
その後、ライアン・ハワード、デレク・リー、マイケル・カダイヤーら一流選手を顧客として抱えてきたが、特筆すべきはジーターの代理人を現在でも務めている点である。その関係は21年も続いている。メジャーNO1のスーパースターでありながら、人格者として知られるヤンキースの主将から絶大な信頼を得ているのだ。となると、当然、ヤンキースには太いパイプを持っていることになる。2000年オフには、ジーターの10年総額1億8900万ドル(約196億6000万円)という大型契約を引き出している。
ヤンキースは田中の移籍先で本命と見られている。「入札してくださる球団が多ければ多いほど、選択肢はあると思います」と話す右腕が、名門球団との関係を考えてクロース氏を選んだのかは定かではないが、仮に希望球団の1つであった場合、交渉に有利に働くことは間違いない。田中獲得に並々ならぬ闘志を燃やすヤンキースから見ても、ジーターの契約交渉で良好な関係を保ち続けているクロース氏の存在は心強い。