改めて評価したい2013年プレイバック 「職人」の系譜を継ぐソフトバンク・今宮健太内野手
黒子に徹しパリーグ記録を塗り替えた今宮
強化ポイントとなっていたホークスのショートの座を22歳の新星が奪い取った。今宮健太。2009年のドラフト1位内野手は期待通りに、4年目で頭角を現した。
同年の夏の甲子園では大分代表の明豊高校の遊撃手兼投手として沸かせた。颯爽とショートからピッチャーに変わると、154キロの直球を野手投げで出すなど、度胆を抜いた。小柄だがパンチ力があり、走攻守3拍子そろったプレーヤーとして将来を嘱望されていた。
昨年引退をした小久保裕紀氏が後継者に指名したように、甲子園のスターは自覚と責任を持って今年はプレーを続けた。2番・ショートで定着すると、パ・リーグ記録の58犠打を6年ぶりに更新する62犠打をマーク。8月には20犠打を記録するなどバント職人となった。今季は初のゴールデングローブ賞も受賞。ヤクルトの宮本慎也氏や巨人の川相昌弘氏のように、ショートの名手でバントも上手い「職人」の系譜を受け継ごうとしている。
宮本氏も川相氏も自分が犠牲をする仕事に誇りを持っていた。川相氏はアウトになることが自分の仕事だと割り切り、1つのアウトに意味と価値を見出した。職人として、世間に受け入れられる仕事を引退するまで続けた。今宮は22歳にして、チームに徹する大切さに気付き、忠実にプレーした。その結果がパ・リーグ記録だった。
将来的には1番や3番を打つようになるかもしれない。だが、この黒子に徹する献身的なプレーはきっと将来に大きな意味をもたらしてくるだろう。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count