マー君の“投球過多”に不安の声が続出!?

過去5年間、MLBで140球以上投げたのは2人だけ

 実は2009年以降、メジャーで1試合140球以上を投げたのは、エドウィン・ジャクソンとティム・リンスカムの2人だけ。いずれもノーヒットノーランを達成した試合だった。一方の田中は3度も140球を超えている。「130球以上」までハードルを下げた場合は、過去5年間の123試合の先発で15試合にまでのぼる。ちなみに、メジャーでは過去5年間で計2万4300人が先発しているが、130球以上に達したのは23人だけだ。

 もちろん、日本のやり方が悪いのかどうかは分からない。2006年オフにレッドソックスが松坂大輔を獲得したとき、精密検査の結果、彼の肩はきれいだった。しかし、2年後に再び検査をしたときにはダメージが出ており、最終的には肘の靱帯も損傷した。原因は、日本では中6日だった先発ローテーションが、メジャーでは中4日となったことかもしれない。その答えは誰にも分からない。

 また、ダルビッシュ有も日本では多くの球数を投げてきたが、レンジャーズでの2年間は素晴らしいシーズンを送っている。ダルビッシュは高校の時に田中ほど投げ込んでおらず、プロ入り後の2年間もそれほど酷使されていない。ただ、大リーグに来る前の3年間では、1試合平均121球も投げており、130球以上を24回、140球以上を10回も記録。23歳の時には、150球を投げた次の試合に156球を投げたこともあった。

 ナ・リーグ球団の幹部は「ダルビッシュは田中よりも体が大きく、強い」と指摘する。現時点では、科学的には解明できない部分もある。ただ、あるGMは「彼は25歳だが、彼の肩は25歳のものではないだろう」とも話している。

 田中と契約するチームは、これらの事実に目をつぶることになる。それだけ、ダルビッシュ、黒田博樹、岩隈久志を始めとした近年の日本人投手の成功は大きいのかもしれない。また、これらの問題を気にするにしても、あのスプリットはあまりにも美しすぎると、記事では田中の決め球、才能が絶賛されている。

 今週は、スポーツ雑誌のスポーツ・イラストレイテッドからも投げすぎを指摘された。あまりにも注目が高いからか、田中に対しては懐疑的な見方も増え始めている。ただ、外野の声は実力で封じればいいだけの話だ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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