マー君の“投球過多”は真実か? 米国の報道に存在する矛盾
注目度の高さが過剰な報道に繋がっている
米ヤフースポーツの記事では、田中が駒大苫小牧高3年時の甲子園で、約2週間で6試合に登板して742球を投げたことを紹介。さらに、昨年の日本シリーズ第6戦で160球を投げながら敗れ、翌日の第7戦でも抑えとして登板して15球を投げたことについて、「とどめの一撃」となったとしている。確かに、これらの事実については、日本人でも考え方が分かれるところだろう。ただ、そのインパクトが強すぎるあまり、米メディアは日本人投手の“投球過多”に敏感になりすぎているようにも見える。
いずれにせよ、投球の多さがどういった影響をもたらすかは日米で考え方が異なるし、科学的にも証明されていない。選手個人によって違いがあることも確かだろう。厳しく投球制限が設けられている米国でも、大卒の超有望株だったスティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)はメジャー1年目、マット・ハービー(メッツ)はメジャー2年目で肘を痛め、靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)を受けている。ケガをするまでのマイナーリーグを含めたプロ入り後の投球回は、ストラスバーグが123回1/3、ハービーが483回1/3だった。
「田中は投げすぎではない」と言うつもりはない。日本シリーズでの連投は異例だったと言えるだろう。ただ、米国の報道が過剰であることも事実だ。不安要素をかき立てている記事に、矛盾した根拠が入っていることには注意が必要だ。一連の報道で確かなのは、米国内でも田中への注目度が異常に高く、大型契約が確実だからこそ起きている現象であるということだろう。まだベールに包まれている右腕の実力を目の当たりにするのを、米国の人たちも心待ちにしているのだ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count