米名投手が上原、田澤らレッドソックス投手陣に休養のススメ
ハーシュハイザーが語るスロー調整と休養の重要性
ドジャースでワールドシリーズを制したかつての名投手オレル・ハーシュハイザー氏(55)がボストン・ヘラルド紙の取材で、昨年ワールドシリーズを制した上原浩治、田澤純一両投手らレッドソックスの投手陣に対し、新シーズンに疲労を持ち越さないためにスロー調整と休養の重要性を説いた。
「労力、興奮度、疲労度は試合(の重要性や時期)によってまったく異なる。いつも感じるかといえば、わからない。アドレナリンが上がって、興奮状態になれば疲労は覆い隠されてカバーしまう。でも、翌日か翌週か、もしくは翌年にはいずれにしても、その疲労はやってくる」
かつてサイヤング賞を受賞し、ドジャースやインディアンスで出場したポストシーズンでも伝説の力投を見せたハーシュハイザー氏は前年度、特にポストシーズンにわたる力投による蓄積疲労が、翌年のパフォーマンスに影響をもたらすリスクを指摘した。
上原は昨季メジャー5年間でのキャリア最多となる74.1イニングを投げている。しかも、12年シーズンの36イニングから一気に倍増していることから、その疲労蓄積が今シーズンの活躍を蝕むこともあるかもしれない。そこで球界に名を残すエースは自らの体験をもとにこう語る。
「私の場合はオフシーズンの練習で当時、周りに話していたよりも、ずっと遅い時期にピッチング練習を開始するようにしていた。私の現役時代は一年中練習することがよしとされていた。それでも、私は休養こそが大事だと当時から考えていた。メディアには『しっかりと練習をやってきた』と話したが、実際はゴルフなどでリラックスしていた。野球のボールはクリスマス頃までは触らなかった」
現在、スポーツ界では登板間隔や休養などの重要性は常識となっているが、ハーシュハイザー氏の全盛期の1980年~90年代は違ったようだ。
「日々の調整法は選手次第で変わってくる。特に先発か抑えかで、だいぶ違ってくるが、ポストシーズンを見据えるのならトレーニングに修正が必要になってくる。投げ込む量を減らす。上半身に負荷のかからないように下半身を鍛えるとかね」
レッドソックスのジョン・ファレル監督もポストシーズンで負荷の高かった上原、田澤らと密に連絡を取り、調整法に修正を加える意向を示していた。春季キャンプで2人がブルペンに入る時期が遅くなる可能性もあるという。上原ら投手陣の肩をいかに温存するかという点こそが、来季のワールドシリーズ連覇の重要な鍵になるのかもしれない。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count