連覇のキーマンは? 楽天はマー君が抜ける穴をどう埋めるか
連覇は簡単なことではない
昨季ルーキーながら15勝8敗と大活躍した則本昴大投手(23)は新人王を獲得。美馬学投手(27)も日本シリーズで2勝を挙げ、MVPに輝いた。松本氏がこの2投手の次に期待するのが辛島航投手(23)だ。
ドラフト6位ながらルーキーイヤーの2009年に1軍のマウンドを経験した辛島は12年に自己最多の8勝をマーク。フォームのバランスもよく、将来を嘱望される左腕だ。だが、昨季は11試合に登板して3勝4敗で防御率4.42と伸び悩んだ。
「彼はいい球を投げるんですけど、ここ一番で思うように勝てない。後半崩れてしまう。原因は精神的なものでしょう。ただ、彼自身がその原因が分からないと言うんですよ。それが分からないうちは絶対に柱になれない。前半は本当にいい球を投げるんですけど、中盤から後半にかけてガタっとくる。ちょっとしたことなんですけどね。同じことを昨年1年も繰り返した感じですから、それを直さないと柱にはなれない。逆にそれがしっかりしてくれば面白くなりますね」
松本氏はそう期待を込める。今季の先発布陣を見ると、ほかにメジャー9勝左腕のトラビス・ブラックリー(31)を獲得。故障などで昨季0勝に終わった塩見貴洋(25)も復活を目指している。また、2年目の左腕、森雄大(19)、今オフのドラフト1位の松井裕樹(18)も楽しみな存在ではある。ただ、マー君の穴はそう簡単には埋まらないだろう。
松本氏は楽天の連覇は困難と予想しつつ、「ダルビッシュが向こうに行った時も、日本ハムにはダルビッシュを補える若手が出てきて、結果、優勝した。評論家のほとんどはあのころ日本ハムを優勝とは予想してなかったですからね」と新たな戦力の台頭によって、チームが救われる可能性があることも指摘する。
確かに当時の日本ハムはダルビッシュ有が抜けた直後の12年に、それまでの3年で0勝だった吉川光夫投手が14勝5敗とブレイクするなど、しっかりと穴を埋める存在が現れ、パ・リーグを制している。
昨季、二ケタ勝利がマー君と則本だけだった楽天に、果たして新たなエース候補は現れるのか。パ・リーグ連覇は06年から2連覇した日本ハム、日本一連覇は1990年から3連覇した西武以来、出ていない。今季、大エースを欠く楽天がどんな戦いを繰り広げるのか、ファンの興味は尽きない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count