マー君成功の鍵を握る通訳の存在 “公募”で選ばれるパートナーの役割とは?
名コンビとなった松井秀喜氏とロヘリオ・カーロン氏
ほとんどの日本人メジャーリーガーは、私生活でも英語を話せる通訳と時間を共にする。どこにいっても、言葉の壁で困ることはないからだ。特に、遠征先には家族が帯同しないため、食事には2人で出かける機会が非常に多くなる。
田中の場合は、サポート役の佐藤氏が帯同するため、2人きりの時間は少ないかもしれないが、3人で過ごすことは多くなるだろう。そこでストレスを感じるようならば、精神的な疲労が蓄積し、マウンドでのパフォーマンスに影響が出ることも十分に考えられる。だからこそ、通訳の選定には万全を期さなければいけない。
成功例として挙げられるのは、松井氏の例だ。ヤンキースの公募によって選ばれたのは、ロヘリオ・カーロン氏。松井氏と専属広報の広岡勲氏が直接面談を行い、選出したのは有名な話だ。温厚な人柄で、本人だけでなく日本の報道陣とも良好な関係を築いていた。
松井氏は著書「不動心」の中で、自分と同じように時間にルーズであることも、関係がうまくいっている1つの要因だと記している。面談の際に、自分と同じ匂いを感じ取ったのかもしれない。
カーロン氏はヤンキースを2009年いっぱいで退団してからも松井氏に帯同。エンゼルス、アスレチックス、レイズでも通訳を務めた。つまり、メジャー生活の全10年間に渡って名コンビを組んだことになる。各チームのスタッフ、選手、関係者からも愛され、米国での活躍にはなくてはならない存在だった。