第1クールから紅白戦のオリックス “オレ流”落合竜の再現なるか

異例の取り組みを行う狙いは

 03年の秋に就任した落合監督は、その年2位だったチームの優勝を命じられた。その後、秋季練習を視察した際に、個々の練習量が足りないと感じ取ったという。チーム関係者は「2月1日に紅白戦ができるようにというお話を(落合氏は)されていた」と話す。

 2月1日に試合を行うためには、選手もオフにゆっくりすることはできない。特に、新監督を迎え、横一線と言われたならば、紅白戦でアピールをするしか生き残る道はない。名前のある選手も、例年より約1か月以上、体作りをした。すべての選手が調整を早めて、仕上げてきた。ただ、仕上げただけでなはない。戦える体を作ってきた。そのため、川上は2月1日に140キロ後半のストレートを投げ込み、1イニングを3人で抑えることができたのだ。

 当然、コンディションを仕上げていたのは川上1人だけではない。全員が練習をしてキャンプに臨んでいた。そして、落合監督の狙いはまさに、選手たちの意識を変えることだった。練習を重ねてきた選手たちはその後もペースを落とすことはしなかった。勝てるチームは練習をする。中日が常勝軍団になるきっかけが、この「初日紅白戦」にあった。

 2004年シーズン、中日は見事、リーグ優勝を遂げている。選手たちを信頼する落合監督は翌年のキャンプ初日には紅白戦をしなかった。最初の動機付けが重要だったのだ。また、就任1年目ということで、実戦の中で選手の特徴、能力を見極める狙いもあった。いきなりの紅白戦に否定的な意見もあったが、このやり方が正しいことを結果で証明したのだから、誰も文句は言えまい。

 今年のオリックスはキャンプ初日ではなかったものの、3日目に行った紅白戦の中で、新戦力の分析ができたことが大きい。特に今オフは補強を多く、2安打した丸毛なども今後に向けた好材料になっただろう。近年、不振だったT-岡田の目の色も変わっている。紅白戦でアピールするため、オフにピッチを上げて調整してきた選手もいた。森脇監督も目先のことではなく、シーズンを勝ち抜くための戦略を練っているに違いない。昨季、5位だったチームはどこまで上がっていくのか。2004年の中日のように、この異例の取り組みが好結果につながることに期待したい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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