ダルビッシュ有の大型再契約に追い風 レンジャーズがスタジアム命名権で米トップ級の契約
10年間の長期契約を発表
レンジャーズが本拠地レンジャーズ・ボールパーク・イン・アーリントンの命名権に関し、保険会社グローブライフ・アンド・アクシデント・インシュアランス(本社・米オクラホマ)と10年の大型契約を結んだことを5日に発表した。
レンジャーズはテレビ放映権収入などで資金潤沢となったライバル球団と資金力で対抗するために、昨夏からネーミングライツの交渉に本気だったという。最終的には3つの企業からビッグオファーを受け、「地元に根ざし、このコミュニティーで我々のパートナーとなる意欲」(レイ・デイビス共同オーナー)と安定的な経営が評価された保険会社が長期契約に至った。
「グローブライフ・パーク・イン・アーリントン」と改称された創立20年のスタジアムの契約金の詳細については明らかにされていないが、デイビス氏は「長期間のみならず、短期的にも球団が競争力を維持できる柔軟性を持った契約」と説明する。
ジョー・ジャヌスウスキー副社長は「我々の結んだ契約は他のスタジアムの命名権と比べてもトップ2には入る」と胸を張っており、MLBのみならず米4大スポーツで最高額のネーミングライツとなっているメッツの競技場シティ・フィールド(米シティバンク社)の年間2000万ドルに比肩するほど、新たな巨額の収入源を10年間に渡り手にしたことになる。
前回、レンジャーズが結んだネーミングライツ契約は悲惨な終焉を迎えていた。2004年に「アメリクエスト・モーゲージ社」と30年7500万ドルの契約を結んだが、サブプライムローンの問題でアメリクエスト社の業績と会社イメージが悪化し、07年3月に命名権は球団に返還されていた。それだけに、球団側も今回のディールの相手探しには慎重だったという。
3月31日の開幕戦フィリーズ戦でスタジアムの新しいロゴなどが発表される予定だが、ロン・ワシントン監督がネーミングライツのお披露目式を飾る開幕投手にすでに指名しているダルビッシュ有投手の去就にも今回のメガディールは大きな影響を与えそうだ。
メジャーで投球経験のない田中将大投手がヤンキースと7年総額1億5500万ドルという大型契約を結んだことで、昨年のサイ・ヤング賞投票で2位に選ばれ、メジャーを代表するエースと認められているダルビッシュの評価が全米で再浮上。ダルビッシュと田中両投手のメジャー挑戦時のポスティングシステムの違いから、ダルビッシュの年俸総額は出来高を含め、6年総額6000万ドルという内容に抑えられている。全米で物議を醸している田中の大型契約に加え、ドジャースのクレイトン・カーショー投手が7年総額2億1500万ドルという投手史上最高額で契約延長したこともあり、現在メジャー全体で先発投手の契約条件が上昇するというインフレ傾向にもある。
ダルビッシュは年俸面であまりに過小評価されているというのがメジャーでの共通認識。そのため、レンジャーズ強化部も選手のモチベーションに影響をもたらしかねない現状に目を配っている。
「彼との契約は4年残っている。急ぐ必要はないが、適切なタイミングで対処したい」とジョン・ダニエルズGMもダルビッシュの実力と実績に相応しい条件を新たに提示し、契約延長交渉に臨む意向をすでに示している。
ネーミングライツのもたらす年間2000万ドル規模の安定収入を従来の予算に加えれば、ダルビッシュの契約見直し時の年俸がメジャートップクラスとなったとしても補充することが可能となる。実力に相応しい再契約を日本人右腕はいつ手にするのか。まずは新しい名前を冠された本拠地でのこけら落としで登場するダルビッシュの快投に期待したい。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count