サイ・ヤング投手も認めるマー君の影響力 デビッド・プライスの移籍を阻んだのは田中将大の存在?

メジャーを代表する左腕はどこに行くのか

 そもそも、トレードは2015年シーズン後にフリーエージェントとなるプライスの要望ではなく、レイズの球団方針から近年取りざたされてきた。ヤンキースなどマーケットの大きな球団と異なり、限られた予算内で競争力を高めるのがレイズ強化部の戦略。そのため、どんなに優れた選手でも、球団経営を逼迫するほど年俸がふくれ上がってしまう場合は、契約切れでフリーになる前に、年俸の安い有望な若手など複数選手と引き換えにトレードに出してしまう傾向にある。

 プライスと同等の実力者、ドジャースのクレイトン・カーショー投手はメジャー史上最高の7年総額2億1500万ドルで契約更新したばかり。プライスと長期契約を再び結ぶためには近い条件を提示する必要があるはずだが、レイズはテレビ放映権で潤うドジャースのようなビッグクラブではない。大型契約は難しいだろう。今回一時的に残留しても、将来的にトレードされる可能性は依然として残るのだ。

「そこは完全に理解している。球団の戦略だから、そこに憤るつもりはない。メジャーで長くプレーすればするほど、ビジネスについて分かってくるものだからね」とプライスも淡々と説明している。

 ある球団の幹部は「プライスが今年開幕までにトレードで出されないということは信じられない。それがレイズのビジネスモデルなんだ」と電撃トレードを予想しているというが、本人はその考えには否定的だ。

「今、自分をトレードに出すことは傷口に塩を塗り込むようなものだろう。自分自身だけでなく、クラブの仲間、ファンにとってもそうだ。(春季キャンプでレイズに合流したことで)みんな私がここでプレーすると思っている。もしも、来月にトレードに出されるようなことになれば、後味が悪い。今はすごく安堵感に包まれている。ここの居心地は最高だからね。今年はレイズで7年目。ここで働く警備員や駐車場の係から、彼らの家族も私は知り合いだ。こんな状況を子供の頃から夢に見ていたんだ」

 メジャーを代表する左腕はどこに行くのか。全米がその去就に注目している。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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