頼れるベテランが復活へ 東出輝裕が作ったカープの絆

東出という支柱を失ったカープ

 あれから、1年が経過しようとしている。昨年2月24日、広島の2軍キャンプの紅白戦のことだった。走者だった東出輝裕内野手(33)が、本塁へ突入した際に左膝前十字靭帯断裂の重傷を負った。手術が必要で全治まで約10か月がかかると診断された。チームリーダーでもあった東出はプロ15年目で初めて1軍出場なしに終わった。

 カープは支柱を失った。東出は毎年、キャンプ地に堂林翔太内野手ら後輩選手と先乗りして合同トレを実施。「東出組」の若手たちのお手本となり、練習を積んでいた。その豊富な経験、野球に取り組む姿勢、考え方など、若い選手から信頼される先輩だった。

 大怪我の悲報を受けた堂林は「東出さんの穴は簡単には埋められない。だけど、若い力を合わせ、頑張っていきたい」と菊池涼介や丸佳浩らと一丸になって戦う決心を固めた。そこから「東出と一緒に」を合言葉に、戦いが始まった。

 もし最短の10か月で復帰し、その時にカープがクライマックスシリーズ(CS)に進出していれば、一緒に球団初のポストシーズンが戦えるかもしれない。それが一つの目標になった。リハビリを続ける東出にとっても励みになった。

 野村監督は東出のように、プレーで1年間、チームを引っ張っていくような精神力のある選手をレギュラーで求めた。そこで出てきたのが、東出の抜けた内野の穴を埋めた菊池と盗塁王を獲得した丸だった。球団関係者は「年齢に関係なく、自分がやるんだという自覚が若い選手には見られた」と復帰を目指す東出の存在が少なからず関係していることを明かした。

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