改めて振り返る、引退を表明したヤンキースの“象徴”ジーターの功績と、松井秀喜氏との絆
ジーターが打ち立ててきた数々の記録
また、2001年からヤンキースと10年契約を結んだジーターだが、その後は3年契約+1年の選手オプションという短期契約を選んだ。その選択は自らの力が衰えていることを考慮したもので、ヤンキースに余計な負担を負わせたくないという配慮があったとされている。
これは、多くの選手が自分のために1年でも長く契約を結びたいと考え、結果的に不良債権化していくことの多い近年のメジャーリーグで、極めて珍しい例と言える。こんなところにも、ジーターの優れた人間性が表れている。
ジーターが打ち立ててきた数々の記録についても振り返っておこう。安打数はすでに偉人と肩を並べるレベルにまで達している。2009年にルイス・アパリシオの2673安打を超えてメジャーの遊撃手として歴代最高となると、ルー・ゲーリッグの2721安打も上回りヤンキースの球団記録も更新。2011年には野球殿堂入り確実と言われる3000本安打も超えた。
また、年間200安打を8度記録。現在の通算3316安打は現役最多で、歴代でも10位にランクしている。今季、完全復活を遂げれば、5位のトリス・スピーカー(3514安打)までは射程圏内だ。
近年は衰えが目立つものの、2004~2006年の3年連続を含む通算5度のゴールド・グラブ賞を受賞した守備の名手でもある。オールスターには13度出場。2000年にはオールスターMVPとワールドシリーズMVPに輝いたが、両方のMVPを同じ年に獲得したのはジーターのみ。シルバー・スラッガー賞にも5度、選出されている。ただ、本人にとって何よりも誇らしいのは、やはり5度の世界一だろう。
ちなみに、華やかな女性遍歴を持つこともスーパースターとしての魅力を作る一つの要素となっている。これまでに噂のあった相手は、マライヤ・キャリー、スカーレット・ヨハンソン、ジェシカ・アルバ、タイラ・バンクス、ジェシカ・ビールら女優を中心に錚々たる顔ぶれが並ぶ。
現在は独身だが、今月19日の記者会見では「家庭を作りたい」と引退後の目標を語った。交際中とされる水着モデルのハンナ・デービスとゴールインするのか、米国でも注目が集まっている。
引退後の野球殿堂入りは確実。背番号2が永久欠番になることも間違いない。ただ、19日の記者会見の席で、ジーターは言った。
「これは引退会見ではない。私はもう1年プレーするんだ」
将来、レジェンドとして名前を刻まれる選手のプレーを、私たちは今しばらく堪能することができる。現役最高の選手のラストイヤーから目が離せない。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count