イチローが挑む初めての壁 「5番手」からのレギュラー奪取はなるか
キャンプではレベルの違いを見せつけている
23日の練習中には、ガードナーをパートナーに遠投を行う場面があったが、イチローが軽々とライナー性のボールを相手のミットに投げているのに対し、ガードナーは同じ距離をワンバウンドでしか投げられなかった。元々、肩の弱さを指摘されている選手とはいえ、その差は歴然。確かに10歳の年齢の違いはあるが、元々、持っているものが違う選手であることは明らかだ。
自信があるからこそ、イチローはレギュラー争いに食い込むつもりでいる。
「今年は勝負するという気持ちなのか?」
そう問われるときっぱりと答えた。
「それをいうなら、いつもやってますね。いつも勝負してますね。マリナーズの時だって、勝負してないことないですよ。(2004年にメジャー記録の)262(安打)打った後でさえ、そうですね。ちょっと第三者とは感覚が違うでしょうね」
これまで、周りから見れば確実にポジションが保証されている立場だったが、本人の気持ちだけは違った。だから、同じように周りから見れば「初めて」に思える壁も乗り越えてしまうかもしれない。それは、イチローにとって例年通りのことなのだ。
実際に、5人の中で最も安定して成績を残せるのはイチローかもしれない。ただ、今はそれを証明しなくてはいけない立場にいる。もしかしたら、開幕までには間に合わないかもしれないが、それでも、イチローはシーズンのどこかで定位置を確保し、主力としてヤンキースの地区制覇に貢献する――。キャンプでの生き生きとした姿からは、そんなイメージが浮かび上がってくる。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count