イチローはなぜ怪我をしないのか? その裏側に隠された「変わらない」ことの大切さ
昨日と違う自分がいるかどうかの確認作業
40歳になって若い選手たちと一緒にレギュラー争いをしているのも、体が丈夫だからできることである。常に最善のケアをして、試合に臨む。イチローのすごさは、ここにもある。
イチローはシーズン中のルーティンを崩さない。そんな姿を見たある選手はイチローのすごさをこのように語っていた。
「イチロー選手は、自分を主観的にも客観的にも見ることができる。毎日、同じ動きをすると、逆にいつもと違うことにも気が付く。今日は(体の)ここが少し違うなと感じれば、そこを重点的にケアする。怪我を未然に防ぐことをしている。それが、イチロー選手がルーティンを大事にしている理由だと思う」
ルーティンを大事にする選手は多い。験担ぎを理由にする選手や、それをやらないと落ち着かない選手、自然と習慣化されている選手など様々だが、前述の言葉を踏まえれば、イチローの場合は昨日と違う自分がいるかどうかの確認作業をしていると見ることができる。
怪我をしない理由については、食事面での体調管理や、毎日のコンディショニングなど多くの理由があるだろうが、そうやってルーティンを大切にする継続力も、イチローという偉大なアスリートを大きく支えているに違いない。
老け込むにはまだ早い。磨き上げてきた技術と積み重ねてきた日々の努力があるからこそ、イチローは40歳となった今も、目の前に立ちはだかる苦境に抗い続けることができるのである。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count