『新ルール』で野球が変わる? 2014年にMLBが迎える転換期と、それを巡る是非の声
今回のルール変更は、改正なのか改悪なのか
今季はレッドソックスの正捕手となったAJピアジンスキーも、新ルールに異を唱える人物の1人だ。
メジャー史上唯一13年連続110試合以上でマスクをかぶったベテランは「捕手としてメジャーリーグを目指した時点で、接触プレーは避けて通れないもの、ある意味、仕事の一部だと考えている」と話す。
「起こりうる接触プレーを禁止し始めたら、最終的には二塁へのスライディング禁止なんてことに発展しかねない」と野球の本質を変えかねない新ルールを皮肉る一方で、「故意か故意でないかの判断を審判にゆだねるのは曖昧。勝敗を左右しかねないプレーの判断をゆだねられる審判が気の毒だ」とも話している。
選手の安全性が守られるべきことは間違いないが、ビデオ判定の適用範囲の拡大も含め、野球というスポーツそのものが少しずつ様相を変化させていることは否めない。今回行われたルール変更が、改正なのか、改悪なのか。シーズンが終了した時、再びその論争に火がつきそうな気がする。
【了】
佐藤直子●文 text by Naoko Sato
群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。