開幕戦勝利を飾った則本昂大の存在が松井裕樹を成長させる 楽天のエースの系譜に見る共通点

則本という「木」がチームの幹となる

 この年、岩隈は5勝5敗と成績自体はパッとしなかったが、もし、このチームに投手陣の柱となる存在がいなかったら、田中に過度な期待がかかっただろう。今年も則本がいなかったら、オープン戦で好調だった松井に対して期待をかけ過ぎる状況になっていたに違いない。

 開幕ローテ入りを果たした左腕はまだ18歳で、プロの経験はない。そこでプレッシャーをかけてしまっては、伸びるものも伸びなくなってしまう。

 その点、マー君の1年目は岩隈がエースとして1年間戦ってくれたおかげで、チームの責任を背負うことなく、オールスター出場、11勝6敗、リーグ2位の196奪三振を記録するなど、伸び伸びとプレーして結果を残すことができた。それが成長への大きな足がかりとなった。

 昨年の則本にも同じことが言える。昨年24勝したマー君がいたから、則本も順調にその能力を開花させることができた。絶対的エースの存在は大きいのだ。岩隈の影で育ったマー君。マー君の影で育った則本。そして、今年の松井。松井の活躍は、則本という「木」がチームにおいてどれだけ大きな幹となり、松井のために影を作ってあげられるかにかかっている。

 松井は4月2日の本拠地開幕戦、オリックス戦でプロ初先発が予定されている。連覇を求められている環境は前例とは違う部分もあるかもしれないが、2人が一緒に飛躍していくことを期待したい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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