直球、変化球、それともコントロール? ヤンキース田中将大が自負する才能とは何か
ピンチを察知するとボール球を投げる意識
田中はその中でなぜピンチを切り抜けられてきたのか。それは、ピンチと察知すると、初めからボール球を投げる意識があるからだという。
たとえばスライダーが3球続いたとする。4球目も捕手のサインが同じスライダーであったときに、田中にはそれが狙われていると分かることがある。そのときは捕手の意見も尊重するが、自分の「嗅覚」に自信があるため、わざとボール球になるようにスライダー投げて、未然に大怪我を防ぐようなことが多いのだという。
このことからも分かるように、田中はマウンド上で今一番、何をやってはいけないかを冷静に考えることのできるピッチャーなのである。絶対に先頭打者を抑えなくてはいけないケース、連打されてはいけないケース、四球がいけないケースなど、「嗅覚」が抜群に働く。そのマー君の鼻がピンチや、ピンチの芽を摘むことができるのだ。
本人が言う通り、田中将大が投手として最も優れている部分は、ストレートや変化球、コントロールではなく、ピンチの芽を自分自身でかぎ分け、相手の弱点を知る「嗅覚」なのかもしれない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count