広島に2年ぶり単独首位をもたらした一岡竜司の気迫
セットアッパーとして完璧なピッチングをみせた一岡
まだ開幕したばかりである。それもたった1日だけである。それでも、広島カープのファンは前夜の宴に酔いして、カープの優勝に思いを馳せた。「今年はやってくれると信じている」。「今年の強さは本物か」。先発・野村祐輔の力投。廣瀬純の猛打賞。ショート・梵英心の好守。そして、堂林翔太のダメ押し2ラン。鮮やかに巨人を倒し、2年ぶりのセ・リーグ単独首位に立った。
ファンの声は盛り上がりを見せている。中でも「しびれた」「カープに来てくれてありがとう」と称賛の声が多数上がったのが、1点リードの7回からリリーフした一岡竜司投手だった。大竹寛の人的補償で巨人から広島に移籍。初の開幕1軍だけではなく、勝利のセットアッパーとして組み込まれた。
試合前には巨人の原辰徳監督から「ユニホームが似合っているな。役割は守るものではないぞ」とそのポジションを死守するだけでなく、レベルを上げていくことを期待された。
その一岡は、野村の後を受け、僅差の展開でマウンドに上がった。この日2安打の坂本勇人を直球とフォークを織り交ぜ、フルカウントの攻防の末、最後は伸びのある直球で見逃し三振。タイムリーを放っている橋本到もフルカウントからフォークで空振り三振。最後は実松一成をサードゴロに仕留めた。相手の得点の芽を摘む完璧な内容だった。
物怖じしない性格とあり、3ボール、2ストライクになっても、威風堂々。1イニング無失点、2奪三振というピッチングで古巣斬りを果たし、今季巨人戦初勝利に大きく貢献をした。
1年目はイースタンで46試合に登板し、7勝1敗14セーブ。防御率は驚異の0・55、昨年は35試合で0勝1敗15セーブ、防御率は1.10。抑えやセットアッパーとしては2軍ではほとんど敵なしの状態だった。だが、戦力が充実している巨人ではなかなか勝利の方程式に加わるのは難しく、力はあってもチーム事情から1、2軍を行き来する投手だった。
人的補償という形で巨人を離れたが、憎む気持ちはまったくない。むしろ、声を大にして「感謝をしているくらいです」と明かす。