今後の活躍を占う意味でも重要な一戦 田中将大は本拠地デビュー戦で歴史を刻めるか

左打者に有利な構造のヤンキースタジアム

 新たな「庭」で歴史を刻めるだろうか。

 ヤンキースの田中将大投手(25)が、9日午後7時5分(日本時間10日午前8時5分)プレイボールのオリオールズ戦で本拠地デビューを飾る。4日(同5日)のブルージェイズ戦では高い修正能力を発揮し、7回3失点で初白星をつかんだ右腕に対する期待は、ますます高まっている。ニューヨークのヤンキースタジアムも「タナカ祭り」でルーキー右腕を迎えることになりそうだ。

 7日の本拠地開幕戦では、地元ファンから熱烈な歓迎を受けた。大リーグでは、どの球場でもホームオープナーの試合前にセレモニーが行われ、球団のスタッフ、選手が紹介される。名前を呼ばれるとダッグアウトから飛び出し、グラウンドのラインに並ぶが、選手の中で最初に紹介された田中へは一際、大きな歓声が送られた。さすがに今季限りで引退するデレク・ジーターにはかなわなかったものの、期待の高さが、そのボリュームに表れていた。

 また、球団公式の雑誌「ヤンキースマガジン」の4月号は田中が表紙を飾っている。ルーキーとしては異例の抜擢で、インタビューやキャンプ中の写真を中心に、全10ページの大特集も組まれている。

 球場内に複数あるグッズショップでの田中関連の商品も破格の扱いを受けており、背番号19のユニホームやTシャツは必ず店内の目立つ位置に配置。ホームベースの裏にあるショップは、ほとんどがジーターのグッズで占められているが、その一角に田中のグッズを集めたコーナーが作られている。球団側も大型ルーキーを前面に押しだして、開幕カードを盛り上げている。

 肝心なのは、この雰囲気の中でしっかりと勝利をつかめるかということ。田中がこれから7年間を過ごすヤンキースタジアムはホームランが出やすく、打者に有利な「ヒッターズ・パーク」として知られている。広い左中間に比べ、右中間は膨らみがほとんどなく、左打者にとっては特に有利な構造だ。

 2012年の夏にイチローが移籍してきた際には、守備で左翼を任されることが多かった。これは、右翼にスウィッシャーというレギュラーがいたことや、当時、レギュラーだったガードナーが負傷で離脱していたこともあるが、左翼の方が守備範囲の広さが必要とされるからだった。それほど特徴的な作りなのだ。

 つまり、右投手には極めて厄介なスタジアムということになる。左打者に対する投球で間違いがあれば、命取りになる可能性がある。しかも、本塁から右翼に向けては強い風が吹き抜けているとも言われている。オリオールズには、昨年53本でホームラン王に輝いた左打ちのクリス・デービスがいる。細心の注意を払いながら、決め球のスプリットをいかに効果的に使うかが、本拠地初勝利へ向けての重要なポイントになるだろう。

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