超美技の裏にあった“究極の選択” 「一塁・ベルトラン」の誕生でイチローの定位置奪取は実現するか
ベルトラン「イチローが試合に出られないなんて信じられない」
ただ、本当にイチローが一塁を守っていたら、超美技やヤンキースの勝利は生まれていなかったかもしれないのだ。
ベルトラン自身もそのことについて言及している。
かつての名手は外野手としてのプライドを持っているはずだが、チームのために一塁を守ることを受け入れ、ジラルディ監督の提案に快諾したという。
米メディアからの「あなたならあの打球を捕れていたか?」という意地悪な質問には「それはやってみないと分からないよ」と笑みを交えて応えたものの、今後については「一塁を守るのはイヤだが、チームのためなら同じ役割を受け入れる」と語った。そして、「イチローが試合に出られないなんて信じられないよ」とも話している。
イチローのプレーはすでに伝説的なものとして、米メディアからも絶賛を浴びている。
プレー直後、ツイッターで「伝説は静かに消えたりしない」とつぶやいたESPNのアンドリュー・マーチャンド記者は、実はイチローに批判的な原稿を書くことの多い人物だ。そのマーチャンド記者であっても、あのプレーには素直に拍手を送った。当日の原稿でも「壮観なキャッチ」と絶賛している。
また、敵地ボストンの地元紙ボストン・ヘラルドも「勝利の希望はイチロー・スズキのマジックに捕まえられた」と題して、記事を掲載。打球を捕られたオルティスの「あれは忍者だ。彼はすごいよ。彼には(マリナーズ時代から)何回もああいうプレーをやられている」というコメントを紹介している。今回だけでなく、イチローのせいでヒットを何本か損しているというのだ。