7回2失点と力投のエースに地元紙も同情 「ダルビッシュに対する援護の少なさは今季の定番」
思い通りにいかない状況でエースの仕事を果たした
注目の一戦だった。相手の先発は2010年のサイ・ヤング賞投手、「キング・フェリックス」の異名を取る右腕フェリックス・ヘルナンデス。ダルビッシュ自身も試合前の記者会見で、「メジャー右腕で3本の指に入る」と実力を認めたキングとの対決は、地元メディアから「世紀の対決」と評されるほど、大きな盛り上がりを見せていた。2人の直接対決は2012年に2度あったが、いずれもダルビッシュが乱調で、ヘルナンデスが勝利を挙げていた。
この日もヘルナンデス自身は圧巻のピッチングを披露。8回途中まで投げ、球数は96球、9奪三振。打たれたヒットはわずか4本で、四球は1だった。8回最初のバッターに三塁打を浴び、悔しそうにマウンドを降りた。中継ぎの左腕チャーリー・ファーブッシュが犠牲フライを許し、自責点1。9回裏のレンジャーズの逆転劇で勝敗はつかなかったものの、勝利に値するピッチングだった。
ESPN電子版はサイ・ヤング賞候補に挙げられる両エースの投げ合いに焦点を当てた詳細な速報を展開。そのレポートの中で、7回2失点でマウンドを降りたダルビッシュに対しては「堅実なピッチングだったが、成績はA(最高点)はつかないだろう」とまずまずの評価を与えている。
一方、衝撃の逆転負けで力投が報わなかったヘルナンデスに対しては「最終章では可哀想なフェリックスと締めくくるよりは、ヘルナンデスの素晴らしさを強調したい」と絶賛した。
それでも、ESPNは試合後、「なぜ水曜日(マリナーズ戦)がユウ ダルビッシュの最高の先発試合だったのか?」との大見出しで特集。「思い通りにいかない状況でダルビッシュはエースの仕事を果たした。彼は粘って試合を作った」と称えている。
悪いなりにゲームを作る。打線の援護がなくても腐らずに投げ切る。そして、チームの勝利に貢献する。ダルビッシュはダラス・モーニングニュース紙に対し、「勝ちは勝ち。得点に関しては、僕はバッターボックスに入って、ヒットを打てるわけではない。でも、チームメートをすごくリスペクトしている。こういう日もある」と語っている。
不発の味方打線を気遣うあたりに、大エースの風格が漂っている。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count