ヤンキース監督が「代走・イチロー」にかけた思いを吐露 「イチなら盗塁できるチャンスが相当高くなる」
ジーターに代えてイチローを代走に送る
ヤンキースのジョー・ジラルディ監督が現地時間20日に行われたレイズ戦に代走で出場し、ビデオ判定の末に二盗失敗と判定されたイチロー外野手に対する信頼を改めて表明した。ニューヨーク・ポスト紙が報じている。
11回表に先頭打者のキャプテン、デレク・ジーターがヒットで出塁。今季限りで現役引退となる英雄に代わり、指揮官はジーターよりも1歳年上のイチローを代走に送った。
「私は得点できるチャンスにかけた。イチなら盗塁できるチャンスが相当高くなる。難しい選択だったが、ブルペンに控える投手は経験が不足していたので、あの回にかけた」
後続のベルトラン外野手が三振で倒れた後、イチローは果敢に二盗を試みた。1度はセーフと判定されたが、レイズ側が主審に「チャレンジ」を要求し、ビデオ判定の結果、アウトへと覆った。
今季これまで3回のチャレンジで3回成功と判定されていたイチローだが、初めて土がついた格好となった。この回のチャンスは生かせなかったが、試合は延長12回に4点を追加したヤンキースが5-1で勝利している。
「私は盗塁をできるチャンスのある選手を投入し、彼はあと少しで相手の綻びを突くことができた。全てを考えて、あのイニングにかけたんだ」
指揮官はこう力説したという。
今季、毎試合先発出場とはいかないイチローは定位置のライトのみならず、レフトや代走、守備固め要員など、そのシチュエーションに応じたパフォーマンスを要求されている。3割5分5厘という高い打率だけでなく、芸術的なスーパーキャッチ、俊足を生かした走塁など、ピンストライプの名門で輝きを放っている。
今季限りで現役引退を表明しているジーターの「引退ツアー」と地元メディアに称される特別な1年だけに、ジラルディ監督には試合後、「なぜジーターを交代させたのか」と地元メディアから質問が多く寄せられた。だが、指揮官は勝負師としての信念、そして、イチローに対する信頼を明確にしていた。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count