敬礼ポーズの生みの親 広島・廣瀬純が今季1号&3打点の活躍

廣瀬が敬礼ポーズを取り入れた理由とは?

 2013年の自主トレを手伝ってくれたメンバーの中で、高校時代に野球を経験していたハイパーレスキュー隊の男性がいた。ハイパーレスキュー隊とはオレンジの衣服を着用した消防庁の機動部隊の通称。大きな災害や事故に対し、迅速に救助活動を行う特別救助隊のことである。廣瀬は若手選手らと一緒に朝から夕方まで汗を流したが、そのレスキュー隊員の男性も最後まで付き合ってくれ、同じ時間を過ごした。

 その男性は一緒に自主トレを行っていたカープの上村和裕捕手の知り合いだった。廣瀬は消防士の職業に憧れ、敬意を持っていたため、ハイパーレスキューの仕事についての話をその期間中に聞くなどしていた。そこで壮絶な災害や事故現場の話を知り、さらに尊敬の念を抱いたという。

 人の命を救う仕事で、自分も命がけで戦う宿命にあるレスキュー隊。野球選手の自分は、そういう仕事は直接的にはできないが、プレーで人を元気づけることはできる。廣瀬は、そんな思いから被害者や被災者の少しでも力になれればという思いを敬礼という形にした。ナインもその考えに賛同した。それは、どんどん広まっていった。

 一見、明るく、楽しみ、喜びを感じながらやっている敬礼ポーズだが、廣瀬にはしっかりとした考えがあった。この敬礼を見た消防士たちも、きっと仕事への活力になるだろう。

 今年のカープは開幕から好調で、1試合に5本塁打が飛び出すシーンもあり、敬礼がたくさん見られている。これまでは他の選手が開幕から敬礼してホームインをしていたが、廣瀬が自らのホームランでやる敬礼の意味も大きい。これからもっとカープが勝ち、敬礼ポーズが見られれば、廣瀬のこの考えも浸透していくだろう。

 今では野村謙二郎監督も見せるほどのポーズ。首位を走っているカープ。チームをひとつにした廣瀬の功績がそこにはある。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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