MLBにとっても他人事ではないNBAの人種差別問題 大リーグにおける人種差別撤廃への取り組みと現状
NBAから永久追放されたスターリング氏
ここ数日、アメリカのスポーツ界、いや社会全体を賑わせているのが、NBAロサンゼルス・クリッパーズのオーナー、ドナルド・スターリング氏の人種差別発言だ。
騒動の発端は、こうだ。昨年9月に夫人と別居中のスターリング氏(80歳)が、当時交際中だったとされる女性(31歳)に、「アフリカ系アメリカ人と撮った写真をインスタグラムに投稿するな」「彼らをクリッパーズの試合に連れてくるな」などと話す会話の録音テープが、最近になって芸能サイトで大々的に公開された。
差別の中でも、特に「人種差別」に敏感なアメリカ社会は、すぐに反応。もちろん、スターリング氏の発言を擁護する声は皆無で「人種差別主義者」と徹底的に糾弾した。ちなみに、同氏はかつても性的嫌がらせや人種差別の疑惑が浮上したことがある。
奇しくも、NBAはプレーオフの真っ只中。クリッパーズもウォリアーズと対戦中で、オーナーの発言を知った選手やコーチら関係者は戸惑いが隠せなかった。NBAをはじめとするスポーツ界はもちろん、世論が熱を帯びる中、NBA選手会は試合のボイコットを計画していたという。
だが、今年2月1日に就任したばかりのアダム・シルバー新コミッショナーが即行動に移り、スターリング氏のNBAからの永久追放処分と、規約で定められる最高額の250万ドル(約2億6000万円)の罰金を命じた。さらに、他のオーナーに呼び掛けて、スターリング氏にチームを強制売却させる方針であることも明かした(オーナー会の3/4以上の賛成があれば強制売却勧告が可能)。