MLBにとっても他人事ではないNBAの人種差別問題 大リーグにおける人種差別撤廃への取り組みと現状
MLBも“人種差別は絶対に許さない”姿勢を貫いている
実は、スターリング氏が交際相手だったとされる女性に対して、インスタグラムから削除するように命じた写真は、元NBAスターで現在ドジャースのオーナーでもあるマジック・ジョンソン氏、そしてドジャースのマット・ケンプと撮影した2枚だった。それだけに、MLBにとっても決して他人事とは思えない騒動となってしまった。
MLBでも、人種差別は絶対に許さない、という姿勢を貫いている。中でも、象徴的なのが、毎年4月15日に祝うジャッキー・ロビンソン・デーだろう。
言うまでもなく、かつては白人選手だけに限られていたメジャーリーグに、1947年4月15日に有色人種として初めてプレーしたジャッキー・ロビンソンを称える日。ロビンソンの背番号で、現在はメジャー全体での永久欠番となった「42」のユニホームを全員着るのが恒例となっている。
だが、10年ほど前までは着用していたのは希望者だけで、アフリカ系アメリカ人をはじめとする有色人種の選手が大半。人種の壁を撤廃するきっかけになった「42」を全員で着用することで、「人種差別反対」はMLB全体の総意という意味合いを前面に押し出したかったようだ。
実際、MLBで人種差別がないかと言えば、ゼロとは言い切れない。日本人を含む有色人種の選手やスタッフが嫌な思いをした経験を持つという話を聞いたことがあるし、人種差別だと指摘されてもおかしくない状況に出くわしたこともある。
同時に、白人選手やスタッフが言われもない人種差別批判をされたり、居心地の悪い思いをしたという話を聞いたこともある。そんな時に、ふと思うのは、アメリカ社会そのものが反映されているのではないか、ということだ。