マエケンVS金子のエース対決 勝利した金子千尋が光ったポイントは
守備と打撃でも魅せた金子
フィールディングでも能力の高さを見せた。7回のノーアウト1塁で、木村のライナーが顔面へ向かって飛んできた。金子は体のバランスを崩しながらも捕球し、1塁へ投げて、飛び出した走者を素早く刺した。気持ちをすぐに切り替えて、続く打者の石原をスライダーで空振り三振。本調子ではなく、走者を出すことが多かったこともあって、よりランナーを背負った後のピッチングの精度の高さが光った。
今年の交流戦は10年目を迎え、パの投手は本拠地で打席に立つ。金子は7回2アウト2塁で打席が回ってきた。それまでは1球も振らずに3球三振。だが、3打席目は「まぐれです。真ん中付近にストレートがくることを信じて振ったら、当たりました」とマエケンから前進守備のセンターの頭を超えるタイムリー二塁打を放って、試合を決定づけた。
一方の前田は1回裏にセカンド菊池のエラーから、ヘルマンに二塁打、糸井のレフトへの犠牲フライで先制点を許した。味方の失策とあり、自責にはならなかったが、相手はエース金子。1点を先に取られた方が負ける可能性も高まるだけに、悔やまれる1点となった。
それでも6回に、一塁走者の糸井が二塁方向へ一瞬、体重が乗った瞬間を見逃さずに牽制で刺した。5回ノーアウト1、2塁の打席ではオリックス内野陣に、バントシフトを敷かれ、圧力をかけられたが、3バントを決めるなど、ピッチング以外の細かいプレーの精度の高さを見せつけた。ただ、投手の金子にヒットを打たれたり、要所を締められなかったところが金子との差でもあった。
勝利したオリックスの森脇浩司監督(53)が「いつも以上に選手はプレーの重さを感じながら、試合を運んでいた」とコメントした通りの試合展開だった。勢いのある両チーム同士の戦いはオリックスに軍配が上がったが、見所の多い試合展開となった。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count