トミー・ジョン手術が頻出するアメリカで肘の故障を予防するアプリが開発される
若年時の登板過多を回避させるアプリ
今季多くのメジャーリーグ投手が利き腕の肘の靭帯損傷により、トミー・ジョン手術(肘靭帯再建手術)を受ける現状がアメリカで社会問題化しているが、アメリカスポーツ医学研究所(ASMI)の創立者であるジェームス・アンドリュー医師らがそれらの怪我の予防のために、専用の携帯アプリを開発したことが明らかになった。ESPNが報じている。
今後リリース予定のこの専用アプリの名前は「スロー・ライク・ア・プロ(プロのように投げろ)」。これはメジャーのピッチャーの数多くのトミー・ジョン手術を執刀してきたアンドリュー医師と、術後の選手のリハビリを担当してきた理学療法士のケビン・ウィルク医師が共同開発したものだという。
今季は有望な若手投手ら20人以上がトミー・ジョン手術を受けており、ASMIでは先日、その調査結果を発表。「若年時の投球過多」と「過労」が若い年代での肘の故障につながると分析しており、このアプリではピッチャーの年齢を打ち込むと、それに応じた投球数や登板後の適正な休養日数を算出できるシステムになっている。プロデビュー後に頻発するようになった肘靭帯損傷の大きな要因となっている、若年時の登板過多を回避させる狙いがあるようだ。
このアプリにはシーズン前の正しいトレーニングや試合前のウォーミングアップの方法、ウィルク医師による様々なピッチング練習法のレッスン映像なども含まれているという。
「このアプリがケガなしに最高のパフォーマンスでピッチングできる手助けになればいい」とウィルク氏はコメントしており、野球少年のみならず、家族やコーチもアプリを活用することを願っている。
今季はマーリンズの若きエース、ホセ・フェルナンデス投手やヤンキースのイバン・ノバ投手らがすでにトミー・ジョン手術を受け、今季絶望に。そのような肘の故障の頻出によって、ハイレベルな投手戦というメジャーの魅力の1つが損なわれる恐れがある。開発されたアプリは、その悪しきトレンドを食い止めるための有効な予防策になるのか。将来的な効果が期待される。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count