“2人のデービッド”の和解は困難か オルティスとプライスの「全面戦争」に見る世代間の違い
昔ながらの気風を持つオルティスの世代
2人のデービッドに話を戻そう。5月30日の試合後、怒りの収まらないオルティスは、次のような発言をした。
「今までアイツ(プライス)を選手として尊敬していたが、もう終わりだ。敬意もへったくれもない。去年ウチにやられたからって、みんなに文句を言いふらしてさ。それから電話で話して、互いに事情は理解したはずだった。少しへそを曲げたようだったから、ベテランとして、あるべき姿を教えてやったんだ。
その後で、自分が間違っていたって、わざわざアイツから電話で謝ってきた。公の場でも謝ったし、俺にも謝った。すべては一件落着だった。それが、今季初打席で死球を当てるか? こうなったら、全面戦争だ。もう引き下がらない。次回死球を当てる時には、ボクシング用のグローブを持ってこい。もう尊敬の欠片もないからな」
オルティスの見解は「違うチームとはいえ、ベテランという立場上、メジャーでの振る舞い方を教えてやったのに、恩を仇で返すとは何事だ」ということだろう。
メジャー18年目、38歳のオルティスは、いわゆる「オールドスクール」と呼ばれる昔ながらの気風を持つ世代だ。日本でいえば、古き良き体育会気質が残る世代で、先輩から後輩に物の道理が引き継がれていくことは当然と考えている。一連のプライスの言動を侮辱と受け取り、「全面戦争」発言につながったのは、当然の流れかもしれない。