リーグ最高勝率の強豪を退けた田中将大の“第2の決め球” 現地メディアが驚異の「ストライク100%」を分析
アスレチックス打線もスライダーにはお手上げ
アスレチックス打線のスプリット対策は確かに素晴らしかった。追い込まれてからもボールゾーンへ変化していく球には手を出さず、ストライクゾーンに入っているボールはしぶとくバットに当ててファウルにした。世界最高とも言われているスプリットで打ち取られることはほとんどなく、田中とブライアン・マッキャンのバッテリーを苦しめた。6回までに球数が104球とかさんでしまったことからも、その事実は明らかだ。
ただ、スライダーを投げられると、アスレチックス打線はお手上げとなった。田中のスライダーは日本でスプリットと並んで威力を発揮していた球種で、その場で対抗できるようなものではないことは、打者の反応と実際に出た「100%ストライク」という結果が証明している。2つ目の決め球に対応することは出来なかった。
さらに、普段はあまり投げることのないチェンジアップを織り交ぜられたことも、アスレチックス打線の混乱に拍車を掛けた。この試合の前までリーグ1位の得点数を誇っていた攻撃陣を田中の“引き出し”の多さが上回った。この試合を見ていた人は、田中にまだ余力があるとすら感じられたはずだ。
防御率は2・02とさらに良くなり、ア・リーグ1位をガッチリと守った。リーグ最高勝率を誇るアスレチックスを退けたことで、止められるチームはないのではないかとすら思えてくる。オールスター先発、サイ・ヤング賞、そしてMVP――。ヤンキースのエースは今、最高の栄誉に一番近い位置にいる。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count