田中将大の月間MVPの快挙から遡ること19年 メジャーに衝撃を与えた野茂英雄の記憶
95年6月、野茂英雄が残した驚異的な数字
では、野茂が95年6月に受賞した当時の活躍はどのようなものだったのか。結論から言うと、先月に田中が残した輝かしい成績を上回っている。2完封を含む6試合6勝、防御率0・89という驚異的な数字だった。
当時、26歳だった野茂は5月2日のジャイアンツ戦で、5回無失点(勝敗つかず)でメジャーデビューを果たした。同7日のロッキーズ戦では5回を持たず7失点と散々な結果で、順調なスタートとはいかなかった。「もっとレベルアップしてかないと打たれてしまう」とコントロールや間合いなどレベルアップに努めた。
そして、メジャー7試合目の登板となった6月2日のメッツ戦で9回途中まで2安打1失点と力投し、うれしい初勝利。日本人投手としては1965年の村上雅則氏(ジャイアンツ)以来の勝利となり、先発投手しては初めてのことだった。当時のラソーダ監督は涙を流しながら、その活躍を喜んだ。
ここから勢いは止まらなかった。同7日のエクスポズ戦で8回を投げて1失点で連勝。14日のパイレーツ戦ではトルネードがうなりを上げて、メジャー移籍後最多の16奪三振の好投を見せ、8回3失点で3連勝を飾った。19日のカージナルス戦では8回1/3、2失点(自責点1)で4連勝。メジャーリーガーたちも、独特のフォームから繰り出される重い直球と、鋭く落ちるフォークボールをなかなか打つことができなかった。