田中将大の月間MVPの快挙から遡ること19年 メジャーに衝撃を与えた野茂英雄の記憶

日本人選手の活躍が「トルネード旋風」を想起させる

 さらに圧巻の投球は続く。6月24日のジャンアンツ戦。ドジャー・スタジアムは熱狂に包まれた。野茂はついに初完投を完封で成し遂げた。約130球を投げて、毎回の13奪三振。たった2安打の完封劇だった。

 相手打者にはバリー・ボンズもいた。「最後まで投げられてうれしいです」と喜びを語った野茂は6月最後の登板となった29日のロッキーズ戦でも圧倒的なピッチングを見せ、なんと2試合連続の完封勝利。6月6連勝をマークし、月間MVPを決定づけた。この時、防御率も2・05でリーグ2位につける数字だった。

 月間MVPに選ばれた野茂は文句なく、その年のオールスターゲームにも選出された。もちろん日本人初の快挙だった。ブレーブスのマダックスを抑えてナショナル・リーグの先発投手を務め、2回1安打無失点、3奪三振の快投を見せた。大物メジャーリーガーの仲間入りを果たした瞬間だった。

 そのシーズンは13勝6敗、リーグ2位の防御率2・54をマーク。236奪三振で最多奪三振のタイトルも獲得した。その後の96年のシーズンではノーヒットノーランを達成するなど、日本人先発投手としてのパイオニアとなり、メジャー通算123勝と日本人選手の価値を高めたのだった。

 そして今年、海を渡ってやってきた田中将大が名門・ヤンキースで大活躍を見せている。田中だけでなく、レンジャーズのダルビッシュ有やマリナーズの岩隈久志らも好調をキープしている。今年のオールスターでは彼らの雄姿が見られるかもしれない。全米は今、日本人投手の活躍に当時の「トルネード旋風」のような衝撃を受けているに違いない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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