新時代を支える存在へ 将来への期待がかかる日本球界の2人の新人捕手
伊東監督の下で英才教育を受ける、ロッテ・吉田裕太
もう1人はロッテの吉田裕太捕手(22)。日大三から立正大へ進学し、ドラフト2位でロッテに入団。球界を代表する捕手だったロッテ・伊東勤監督の下で、英才教育を受けている。一口に英才教育と言っても、その指導は厳しい。それだけ吉田にかける期待は大きい。吉田が育てば、しばらくロッテは捕手に困らないと言われるほど、将来性が高いのだ。
オープン戦から攻守でアピールし、開幕1軍を手中に収めた。しかし、開幕してからプロの怖さ、厳しさを感じ、壁にぶつかっている最中でもある。
配球の甘さ、パスボールなどが目立つゲームもあった。そのたびに指揮官から叱責と激励を繰り返し受け、成長してきている。ベテラン捕手の里崎からリード面を学ぶなど、プロのレベルに慣れようと必死に戦っている。
新人捕手には使う方にも使われる方にも、その周りにも、「我慢」が必要なのだ。野村克也氏も古田敦也氏も中日・谷繁元信選手兼監督も、すぐに一流の捕手に育ったわけではない。こんなエピソードをよく聞く。
新人捕手がマスクをかぶる時、サインを出すと、なかなか先輩ピッチャーが首を縦に振ってはくれない。最初に出すサインはすべてに首を横に振り、自分の投げたい球のサインが出るまで待っている。「お前のサインではボールは投げない」という意志表示だ。また、サインが決まったと思えば、違う球種のボールを投げてくることもある。つまり、信頼をされてはいないのだ。
先輩投手のピッチングのスタイル、性格も熟知しないと正捕手は務まらない。呼吸が合わない時は、見ていてわかってしまう。阪神の梅野もエース・能見篤史とサインの呼吸が合わない時もあった。吉田もエース・成瀬善久とサインが合わず、テンポを悪くした時もある。投手のことを考えるあまりに、定評のある得意のバッティングも振るわない。そんなプロの壁にぶつかっているところでもある。
だが、これは一流の捕手たちもぶつかってきた試練であり、乗り越えてきたもの。2選手がそれを乗り越え、球界を代表する捕手になっていく姿を見守っていきたい。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count