田中将大の大活躍の一因は“バットに当てさせない能力”
破壊的な威力を誇るスプリットで空振りの山を築く
田中はストライクゾーンから外れていくボールに手を出させる確率が38・5%で、この数字はメジャー最高だという。空振りを奪う確率も15・1%でメジャートップ。2ストライクに追い込んだ後の空振り三振に仕留める率は29・9%で、これはア・リーグ最高の数字だという。メジャーの強打者を“扇風機状態”に陥らせる田中のピッチングは「あまりに高圧的な手法」と評されている。
そして、この驚異的な空振り奪取能力を見せている右腕について、「タナカの違いを作るボールこそが破壊的な威力を誇るスプリットだ」と指摘。田中がスプリットを繰り出す割合もメジャー最多で、4球に1球という割合だとしている。そして、今季すでにスプリットで60個の三振の山を築いているという。
スプリットでの奪三振数はメジャーのどのピッチャーと比べても2倍以上で、今季はスプリットで計246回スイングさせ、そのうち空振りを奪ったのが120回。どちらもメジャー最多の数字だという。スプリットの被打率は.125で、いかに多くの打者がスプリットによって仕留められているかが浮き彫りになっている。
「彼がトラブルに陥った時こそが、スプリットを繰り出す時だ。タナカ相手にスコアリングポジションにランナーを進めた際、打者はタナカのスプリットに対して35打数2安打で20奪三振となっている」と窮地で絶大な威力を発揮する宝刀の切れ味を評している。
メジャーにおいてもバットに当てることも許さない。それがマウンドで圧倒的な存在感を放つ田中の凄みの根源なのかもしれない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count