混戦ア・リーグ東地区 首位をいくブルージェイズで奮闘する川崎宗則の明るさに期待
川崎が田中との対戦前に立てた作戦
試合前に立てた作戦はどうだったかというと……。
「あの、ももクロの曲が新曲だったんです。それは知らなかったです。ももクロの前の曲しか知らなくて。新曲だったことが敗因だったと本気で考えてます。あんな新曲を出したなんて。知らなかった。やられた。乗れなかった」
乗ろうと思って耳を澄ましたが、聞こえてきたのは知らない曲。乗るにも乗れず、ただ聞き入るだけに終わってしまったのだった。川崎が発したこれらのまるで本気のようなジョークを聞けば、その明るさが分かっていただけるだろう。
一方で、その目で見届けたピッチングにおいては、田中の成長を感じた部分もあった。
「マー君は1年目から知っている。彼が高卒でルーキーの時から7年。今年のマー君が一番いいなと思います。毎年良くなっていくけど、2014年田中将大バージョンはまたすごいなと。毎年、良くなっている。あんなピッチャー見たことないですね」
田中の1年目、川崎は14打数7安打と5割も打った。しかし、マリナーズに移籍する前年の2011年は16打数2安打で1割2分5厘だった。この日はそこからさらに成長していることを実感した。
「2011年の時も良い投手だったけど、それ以上にコントロールが良くなっている。タイミングの取り方がうまい。アメリカのピッチャーとは大きく違うところです。投げるタイミングにためがある」と分析し、力任せにならない、打者との駆け引きのうまさに脱帽。進化した田中の凄みを打席で感じ取ったのだった。
ただ、川崎も2三振を喫してしまったが、2打席目では直球やスライダーに6球もファウルを打って粘った。何とかくらいつくも、最後は緩いカーブでタイミングを外され、空振り三振。川崎の頭の中にないボールを選んで投げてきた田中の勝利だったが、必死にくらいついたからこそ、田中もあらゆるボールで打ち取ろうと考えたのだろう。川崎の意地が垣間見えた。