地元紙が力投のエース田中将大を援護できないヤンキース打線を批判 「タナカの先発試合で勝てないことはチーム全体の痛手」
僅かな過失もフォローできない打撃陣の不甲斐なさ
この日4打数無安打に終わった指名打者カルロス・ベルトランは「タナカのために一発が出なかった。我々はビッグヒットを打てなかった」と、力投に報いることができなかった自らを恥じるようにコメントしている。
右肘の骨棘障害が完治しないベルトランは打率2割9厘。この日、イチロー外野手の代わりにライトに入ったアルフォンソ・ソリアーノは2割2分8厘、マッキャンは2割2分4厘と長打力が期待される3人が今季、大ブレーキとなっている。しかも、ベルトランとマッキャンは今季開幕前の補強の大きな目玉だった。
この日のヤンキース打線は5回まで無安打に抑えられ、3回の唯一の得点も相手のスティーブン・ドリュー遊撃手のエラー絡みだった。得点圏にランナーを置いた場面では5打数無安打。6回の1アウト1、2塁のチャンスもマーク・テシェイラのライトフライとベルトランの三振で無得点に終わっている。
地元テレビ局FOXのカメラは、田中がスプリットではなく、ファストボールを選んだ結果、本塁打を放ったナポリの「何て愚かだ」という叫び声を放送した。しかし、マッキャンは試合後に「確信を持って彼は投げた。あれは正しいボールだった」ともかばっているという。
記事でも、「ヤンキースにとって、本当に恥ずべきことはタナカが11勝3敗という成績を誇り、もっと楽にいい成績を残せていたかもしれないということ。全16試合先発で自責点3を超える失点をしたことがない。ブルペン(の過剰登板)を助ける完投で防御率は2・10まで下がっている。さらにヤンキースの先発ローテーションの現状を鑑みるにつけ、タナカの先発試合で勝てないことはチーム全体の痛手だ」と田中の力投を評価しつつ、満足にエースを援護できない打線を嘆いている。
獅子奮迅の好投を続けるスーパールーキーにも失投や判断ミスも起こりうる。しかし、わずかな過失もフォローできない打撃陣の不振と不甲斐なさは、それこそ「どんな愚か者」にも明白な状況だ。責めるべきはエースではない。悲しいほどの貧打こそが2年ぶりのプレーオフ進出を目指すピンストライプにとっては最大の懸念材料と言えるだろう。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count