ソフトバンク柳田悠岐が覚醒の予感 和製大砲を好調へと導くある“変化”
“目付け”を変えたことで打撃が上昇カーブを描く
今季序盤、背番号44は藤本コーチの言葉を借りれば、まさに「ゴミ」だった。開幕戦(対ロッテ)こそ3安打1本塁打したが、そこから6試合連続で音無し。4月8日の西武戦(西武ドーム)までの10試合で実に8試合で安打がなく、打率は1割6分1厘まで落ち込んでいた。打順は9番になっていた。不振を脱却するため、このときの西武3連戦中に、柳田はある変化を自らに加えた。
「詳しくは言いたくはないんですけど……」
そう前置きした上で「自分の中での目付けですね、投手が投げたときのイメージを変えました。ボール球に手を出していたので。それが交流戦くらいから出来てきました」と明かした。打者のいう“目付け”とは、投手のリリースを見て、どう球筋をイメージするか、や、打席でどのコースに意識を置くか、という時に使われる。
この目付けを変えたことで、打撃が上昇カーブを描きはじめた。前述の打率はもちろん、開幕10試合で12三振と、1試合平均1・2個喫していた三振の数は、交流戦24試合で23三振と0・95個に減少。全38四球のうち、半分を交流戦で稼いでいることからも、「ボール球を振る確率が減った」と感じる打撃の変化が伺える。
現状の打撃内容について「めっちゃ良いというわけではないです。どん底ではないですけど。まだまだという感じはしています」と、納得はしていない。破壊的なパワーを持ちながら、9本塁打は物足りない数字であるし、「もっと1発で仕留められるようにしたい」という言葉に、まだまだ成長の余地を感じさせられる。まだ、未完の大器である。彼自身が納得する打撃を身につければ、全国の野球ファンが胸を躍らせるスラッガーになれる――。そんな期待感を抱かずにはいられない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count