メジャー球団がハッキング被害!? 流出したアストロズのトレードに関わる機密文書にはイチローの名も
汗が止まらない1日を過ごしたルーノーGM
「今回の一件は、現代を象徴した出来事だ。合法であれ非合法であれ、情報を盗み、集めようとする。もちろん、今回の件は違法だ。我々の所有するデータベースに、外部の人間が違法にアクセスしたことは非常に遺憾なこと。リークされた情報の一部は正しくない。何が正しくて、何が間違っているのか、その詳細は明かせない。だが、リークされた経緯を調査し、犯人を突き止めたい。FBI、MLBセキュリティの協力を得て、現在犯人を調査しているところだ」
会話の中に登場した各球団に対する謝罪に追われたルーノーGMは、同情を買ったり、批判を受けたりと、まさに汗が止まらない一日を過ごしたようだ。
約20人のメディアに囲まれたルーノーGMは、終始面目なさそうな、まさに「赤っ恥を掻きました」という表情を浮かべた。コンピュータやデータ管理に長けた人物で、「グラウンド・コントロール」はGM自らが、オーナーのジム・クレイン氏にプレゼンした肝いり事業の一つだったのだから、たまったものではない。
「こんなことは起こるべきことではない。データベースのセキュリティをアップデートするため、あらゆる手を尽くした。だが、どのシステムでも、100パーセント安全を保証できるものはないと思う。今後もセキュリティ管理に最善を尽くし、野球界のためにも守るべき情報を守れるように最善を尽くす」
アストロズの他にも、インディアンスやレッドソックスをはじめ、数多くの球団が独自のデータベースを使用している。今回の一件を対岸の火事と笑わずに、それぞれのセキュリティ対策を再確認した方がよさそうだ。
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佐藤直子●文 text by Naoko Sato
群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。