黒田博樹の力投を台無しにした貧打線を地元メディアが酷評 「いい投球、打線の援護無し、そして黒星」
黒田の力投を台無しにしたヤンキース
ヤンキースの黒田博樹投手が、本拠地ヤンキースタジアムで行われた1日(日本時間2日)のレイズ戦で、今季自己最長の8回を2失点に抑える力投を見せたが、打線の援護に恵まれず今季6敗目(5勝)を喫した。地元メディアは、レイズのエース、プライス投手に散発4安打の1点に抑えられた打線に批判の目を向けた。「ヤンキースは黒田博樹の力投を台無しにしてしまった」。地元紙デーリー・ニューズ(電子版)には、辛辣な見出しが躍った。
シーズン折り返しとなる82試合目は、あまりにも痛い敗戦となった。ベテラン右腕の好投を生かせず、今季ワーストタイの4連敗を喫し、6月8日以来となる勝率5割に逆戻りした。好機で一本が出なかったのが響いた。1点を勝ち越された直後の6回は、ジーターの安打と盗塁で無死二塁の好機をつくったが、中軸以降の打者が走者を返せず、痛い逸機となった。
得点圏では9打数1安打。無安打に終わった1番ガードナーが「フラストレーションがたまる。我々の目標はヒットを打って得点することだが、それができないでいる。シーズン折り返しの試合。もう流れをつかむ時期はとうに過ぎている」とコメントしたように、選手らも焦りに似た危機感を募らせている。
最近5試合で2度目となる1-2での敗戦。ともに、田中将大、黒田博樹という計算できる投手で試合を落としたことがよりショックを大きくしているようだ。記事では、「いい投球、打線の援護無し、そして黒星。今季を象徴するような敗戦で後半をスタートさせた」と、厳しい論調で貧打を敗因に挙げた。
スポーツ専門局ESPNニューヨークは「ジラルディ監督が打線の調子が上向かない理由を見つけられないでいる」ことに着目。記事では、「ジラルディ監督は『実績のある選手は1年で打撃を忘れたりしない』とロースターの高齢化を不振の原因とする説をかたくなに否定しているが、ベルトラン、ソリアーノ、ロバーツら30代後半の選手にとって、昨年からの1年でどう変わるかは未知数」と衰えを問題視。トレードなどで早急にてこ入れしない限り、手遅れになると警告した。米メディアでは早くも、オフに行った大型補強を失敗とする見方が広がっている。
3万5866人の観衆にとってもフラストレーションがたまる試合だったなどと、各紙とも厳しく敗戦を報道。最近10試合で8敗目を喫したチームに好材料を見いだすのは容易ではないが、唯一の救いは、開幕直後から不振だった黒田に復調の兆しが見えてきたことか。この日の好投で、3試合連続でクオリティースタート(6回以上を自責3以内)をクリアした右腕は着実に調子を上げている。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count