今年は22年前にイチローが衝撃を残した日と同じ7月17日の開催 フレッシュオールスターゲームで誰が飛躍のきっかけをつかむのか
将来のスター候補生が集うフレッシュ・オールスター
9回に回ってきた2打席目では、巨人の橋本清投手から痛烈なピッチャー返しとなるヒットを放ち、アピール。ここまではホームランを含む3安打の活躍を見せていた広島の町田公二郎外野手がMVP候補だったが、このヒットでイチローがMVPを手中に収めた。
結局、試合はウエスタンが4-3で勝利。「自分としては塁に出ることしか考えてなかったです」というイチローが途中出場で2打数2安打1盗塁、勝利打点の活躍を見せた。試合後、MVPの賞金100万円の小切手のボードを掲げた18歳の姿があった。
1992年のジュニア・オールスターは後に1軍で活躍する選手ばかりだった。ウエスタンの先発選手は3番に阪神・新庄剛志、4番に広島・町田、6番に広島の金本知憲、7番に近鉄の中村紀洋、8番オリックスの田口壮、9番に中日捕手、矢野輝弘。先発投手はダイエー(現ソフトバンク)の若田部健一だった。
一方、イースタンは1番が西武の大塚光二、3番は日本ハムの片岡篤史、4番は巨人の大森剛、先発投手はヤクルトの石井一久。出場選手の中に一体、未来のメジャーリーガーが何人いるのかと思うほど豪華な2軍のオールスターゲームだった。
その中で勝負所で出番が回ってきて、きっちりと結果を出したところに、イチローの勝負強さと持っている運の強さを見て取ることができる。どんな球でも、初対戦の投手であっても、タイミングをバッチリと合わせ、芯でとらえる卓越した打撃技術はこの時からあった。
イチローの名前が全国区になるきっかけとなったのが、このジュニア・オールスター。現在はフレッシュ・オールスターと名称を変えているが、2軍オールスター戦での活躍が1軍への登竜門とされていることに変わりはない。今年の一戦はイチローが衝撃を残した日と同じ7月17日の開催。誰が将来のブレークにつなげる活躍をするのか、スター候補生のプレーに期待したい。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count