野茂英雄氏に次ぐ偉業達成間近 改めて評価されている黒田博樹の貴重な働き
1000投球回以上の現役メジャー投手の中で防御率は11位
確かに、打線の援護に恵まれなかったり、降板後にリリーフ投手が打たれたりと、白星に恵まれない「不運な男」という印象は強い。メジャー通算では74勝76敗と2つ負け越している。ただ、防御率を見れば、いかに安定した投球を続けてきたかは一目瞭然だ。通算防御率3・45は、1000投球回以上を記録している現役選手ではメジャー11位の数字。これがどれだけすごいかは、黒田よりも上にいる選手たちの名前を挙げれば分かってもらえるだろう。
【1】クレイトン・カーショー(ドジャース) 2・55
【2】アダム・ウェインライト(カージナルス) 3・01
【3】フェリックス・フェルナンデス(マリナーズ) 3・11
【4】デビッド・プライス(レイズ) 3・17
【5】ヨハン・サンタナ(オリオールズ) 3・20
【6】ジャレッド・ウィーバー(エンゼルス) 3・25
【7】コール・ハメルズ(フィリーズ) 3・34
【8】ジョニー・クエト(レッズ) 3・35
【9】マット・ケイン(ジャイアンツ) 3・39
【10】ティム・ハドソン(ジャイアンツ) 3・42
トップ10はメジャーを代表する投手の名前がずらりと並ぶ。さらに、黒田の下にはティム・リンスカム(ジャイアンツ、3・48)、ジャスティン・バーランダー(タイガース、3・51)、クリフ・リー(フィリーズ、3・52)と、こちらも各球団のエース級が続く。このレベルの投球を続けながら200先発登板に達することには、大きな価値があると言える。
現在、メジャーを席巻する日本人先発投手では24日時点で、ダルビッシュ有(レンジャーズ)が80先発登板、岩隈久志(マリナーズ)が64先発登板。今年、デビューした田中も右肘の靱帯断裂で一時離脱しているものの、ヤンキースと7年契約を結んでいる。これらの投手たちが、しばらく後に黒田の先発試合を超えることは、可能性としてはあるだろう。
ただ、一番の難題は、これを続けていくこと。黒田ほどの安定感を保ちながら、200先発登板に達するまでメジャーで投げ続けられるかは、まだ誰にも分からないのだ。確かに白星に恵まれない男ではあるが、この金字塔とも言える素晴らしい記録が達成されるブルージェイズ戦を、勝利で飾ってもらいたいと願わずにいられない。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count