ヤンキースのレジェンドが語った日本人選手への特別な思い
今季限りでの引退の決意は揺るがない
同い年の松井を『トシヨリ』と呼ぶのは、ジーター自身がお気に入りのジョーク。2人の特別な関係は、こんなところからもうかがい知れる。
一方で、今年からは田中将大という新たなチームメイトが海を渡ってきた。現在は右肘靱帯部分断裂で離脱しているものの、すでにその実力はアメリカ中に知れ渡っている。ともにプレーできるのは今年だけだが、ヤンキースでプレーすることの厳しさを知るジーターも、ルーキー右腕には大きな可能性を感じている。
「彼は僕らが想像した以上のことをやってきた。故障前はメジャーでベストのピッチャーだと言われていたわけだからね。彼はいい性格をしている。みんなが知っているかは分からないけど、本当におもしろいやつだよ。彼の間近にいて、本当にいいものを見せてもらった。だから、早く良くなって復帰してほしいと思ってる。彼はここで長い間、素晴らしいキャリアを築いていくだろうし、いいことはまだまだこれからあるよ」
日本人選手とジーターがともにプレーしている姿を見られるのは今年で最後だ。昨季のほとんどを怪我で棒に振ったキャプテンだが、今季は万全の体調でプレーを続けている。しかし、春季キャンプ前に表明した引退という決断については、考え直すつもりはないという。
「これが最後だ。(現役続行は)考えたこともないし、この決意は変らない。今はプレーオフに出るために頑張っているから、引退のことなんて考えていられない。どうしたらゲームに勝てるかに集中している。そういう点では、(自分の)最初の年から今年まで一貫している」
ジーターはイチロー、黒田、田中と共にワールドシリーズ制覇を目指して最後まで戦い抜く覚悟。プレーオフを含めれば残り2か月半。その光景を見られる幸せを感じずにはいられない。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count