今季中に復帰すべきか否か ヤンキースの低迷に現地では「来季優先」の声が出始めるも田中将大は今季マウンドに上がる覚悟

田中が示す強い責任感「チームとしてシーズンの最後まで戦うことが重要」

 右肘靭帯の部分断裂でリハビリ中の田中将大投手が16日(日本時間17日)、故障後初めてとなるブルペンでの投球練習を無事に終えた。復帰へ向けて、ここまでの経過は順調そのものだ。ただ、チームは15日までに今季ワーストタイの5連敗を喫するなど、プレーオフ進出に向けて厳しい状況となっている。現地では、右腕が今季中に復帰することに再発のリスクが伴うという事実も指摘されているが、本人はプレーオフ進出が絶望的になっていようと、シーズン終了前に再びマウンドに上がることに強い意欲を示している。

 この日、田中は直球のみを25球投げた。ジラルディ監督は「私はこれまでどこか用心深さを持っていた。いずれ試合で投げなければいけないと思うが、これは間違いなく一歩を踏みしめた。単なるキャッチボールではないのだから」と喜色をにじませており、その内容は本人だけでなく、首脳陣が手応えを感じるのに十分なものだった。

 今後は、打撃投手、シミュレイテッドゲーム(実戦形式の投球練習)、マイナーリーグでの登板を経て、メジャー復帰を目指す。つまり、開幕前と同じ段階を踏んでいくことになる。

 実際に、首脳陣は右腕の現在の状態をスプリングトレーニングで最初に行う投球練習と同程度と見ている。ただ、開幕までに6週間あるキャンプとは違い、田中の状態が復帰時期を決めることになりそうだ。

「今後の予定というものを確定することはできない。このプロセスの途中には別のステップを踏むことになる。すべてが大きい。そして、彼はそれを全てクリアしなければいけない。今日の練習を乗り越えたことは素晴らしいことだが、もっと大事なことは明日の彼がどう(肘の痛みを)感じるかだ」

 ラリー・ロスチャイルド投手コーチはこう語っている。

 順調にいけば、右腕は今季中に復帰できる見込み。ただ、そこにはチーム状況も大きく影響してくる。

 16日はレイズに競り勝ったものの、ヤンキースはプレーオフ進出に向けて危機的状況に陥っている。仮に、田中の復帰が予定されている9月に今季が“終戦状態”となっていた場合、無理をしてマウンドに上がる必要はないとの見方が現地では強い。来季の開幕から万全の状態で投げられることを優先した方がいいというのだ。

 ただ、田中本人は、慎重にリハビリを重ねながら公式戦で投げられる状態まで戻れるなら、再びマウンドに上がるつもりでいる。「チームとしてシーズンの最後まで戦うことが重要だと思います。できればシーズンの最後まで(チームに)貢献したいです」と通訳を介して話し、今季中の復帰に強い意欲を示している。

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