北信越勢が今夏の甲子園で大暴れ 意識改革を促した5年前の日本文理の躍進

なぜ北信越フィーバーが起きているのか

 今年の夏は北信越が熱い。石川の星稜が18日に鹿屋中央に4-1で勝利して、ベスト16入りを決めた。同日、新潟の日本文理も勝利。17日には富山商業、福井・敦賀気比も勝利した。19日に長野の佐久長聖が勝てば、16強に北信越が負けなしで5校も入ることになる。

 以前は決して強いとは言い難いエリアだった。なぜ、これほど北信越フィーバーが起きているのか。強豪同士の潰し合いが起き、その隙をついているわけではない。実際に強いのだ。

 敦賀気比の打線は、初戦で21安打。2回戦も10安打と2試合連続2桁ヒットで破壊力抜群。他の学校の脅威となっている。富山商のエース・森田駿哉は2試合で19三振を奪う好投手だ。日本文理や星稜も飯塚悟史、岩下大輝といったプロ注目の選手が投打で牽引。はっきりいって強い。

 岩下が「ほかの北信越の活躍は刺激になります」と話す通り、近隣の学校の存在は気になるところ。先に負けたくないという思いが強い。

 雪のハンデという側面はもうない。今年の北信越は例年に比べて暖かく、選手たちによると「雪は少なかった」という。だが、雪の多い、少ないは実力の向上とは大きな関係はない。星稜の場合は室内練習場が完備され、その中で体幹トレーニング、ウエートトレーニングに時間を割いている。素振りに割く時間も多い。徹底した基礎練習を積んでいる。

 敦賀気比では雪のグラウンドであえてアメフトをするトレーニングをしている。普通のグラウンドより下半身が強化され、選手からすると「視野が広がっていい勉強にもなりますし、チームワークもよくなる」と好結果につながっている実感がある。工夫しながら雪と付き合ってきた。

 そして北信越のチーム関係者が口を揃えるのは2009年夏の日本文理の準優勝だ。

 5年前、日本文理が優勝校となった中京大中京を最後の最後まで追い上げた決勝戦は印象深いものだった。

 その戦いぶりが、近隣のチームの闘志に火をつけた。甲子園常連の強豪ではなく、身近な存在が決勝にまで勝ち上がれることを知り「自分たちも夢ではない」という意識に変わった。そこを転機に、地区大会で勝ち抜き、甲子園に出るだけが目標の時代は終わったのだ。

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