黒田博樹が日米通算180勝目で日本人初の5年連続2桁勝利に王手 「継続することが一番大事」

今季16度目のQSは田中と並びチームトップタイ

 ヤンキースの黒田博樹投手が23日(日本時間24日)、本拠地でのホワイトソックス戦に先発し、6回5安打2失点で9勝目(8敗)を挙げた。直球系の走りが良くない中、勝負所ではスプリットを有効に使い、粘りの投球で日米通算180勝目をマーク。クオリティースタート(QS、6回以上を自責3以内)ではチームトップタイに躍り出て、安定感が最大の持ち味である39歳が自らの記録を更新する日本人初の5年連続2桁勝利に王手をかけた。

「粘り強く投げ抜いて、チームが勝ったというのが一番満足しているところ。ストレート系があまりスピードが出ていなかったですし、動いていなかった。そういう部分でスプリットに頼ったピッチングになったと思う」

 本人が米メディアに対してこう語ったように、決して調子は良くなかった。テンポが良くならず、1球1球の間が長くなる場面も多かった。しかし、粘りこそが黒田の真骨頂。その日、勝負できる球を見つけ、チームに勝つチャンスを与えられるように、ゲームを作る。ある意味で、黒田の凄みが垣間見えたピッチングだった。

 ここまでは、好投すれば味方打線が抑えられ、援護をもらえば黒田が崩れるという展開が多く、白星も伸び悩んだ。実際に、今季は16度目のQSを記録。これは田中と並んでチームトップタイの数字となったが、白星では12勝4敗で離脱中のルーキーと3つの差がついている。しかしこの日チームは5-3で勝利し、自身2連勝。ここに来て確実に流れが変わっている。

「多少、巡り合わせも良くなってきていると思いますし、今日のように粘り強く投げていればチームも勝つチャンスがあると思う。シーズン序盤はなかなかこういう展開で勝ちが拾えなかったので、ここに来て体力的にもきついところで勝ちがついていくというのは、自分にとっても大きい」

 白星という薬が、黒田の体に力を与えている。昨年は8月中旬から6連敗でシーズンを終えたが、今年はここに来ていい流れに乗りつつある。

 これで9勝目。昨年、日本人初となる4年連続2桁勝利を挙げた右腕だが、その記録を更新する5年連続2桁勝利に王手をかけた。昨年まで3年連続200投球回をマークするなど、ケガをせずにローテーションを守り続けてきた黒田の安定感を表す数字になる。

「継続することが一番大事なことだと思いますし、その続けるということに自分の中でもすごくポリシーがある」

 プレーオフ進出に向けてし烈な戦いを続ける中、「ポリシー」を貫くことで、チームに最も必要な白星をもたらしていく。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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