ほぼ2試合に1度マウンドに立つ男 「北の鉄腕」宮西尚生はなぜ投げ続けられるのか
チーム内からは賛辞の嵐
「同じ投げ方をしていたら痛みは消えない。でも腕の角度だったり、投げ方を変えるんです。どうやったら痛みがないか。負担が掛からないか。ほんの少しやけどね」
フォームを変える。しかも投手の命とも言える腕の振りを。この技術こそが宮西が持つ最大の武器だ。
そしてメンタル。今年は武田久や増井といった中継ぎ陣が途中離脱を余儀なくされた。
「ボクまでいなくなったらアカンでしょ。まぁ、そこはトレーナーさんのおかげやけどね」
投手リーダーという重責を任されるのもうなずける。
厚沢投手コーチは 「すべてにおいて強い。メンタルもそうだけど、とにかく痛みにもね」。首脳陣からの信頼は厚い。コンディショニングを担当する吉部トレーナーも「痛みに強いのもあると思います。でもまず、自分を分かっている。どこまでやっていいのか。どこまでが限界なのか。その中で力を出し切れる」と賛辞の嵐だ。
驚くべきは、まだある。その投球スタイルだ。多彩な変化球を持つが、ほぼ直球とスライダーのみで、並み居る強打者を封じ込めてきた。分かっていても打てない。
「そりゃあ今後、年を重ねていったらピッチングも変えていかなきゃアカン。でもプロに入団できたってことは、その時あった球が認められたってことですよね。自信もありますし、それで勝負していかなきゃ」
今年8月19日。国内FA権を取得した。実績十分な左のリリーバー。ケガにも強い。というか、離脱しない。情に厚く、誰もが慕う人柄も併せ持つ。他球団は放っておかないだろう。
【了】
J・T●文 text by J・T