甲子園出場校を後押しした3人の元プロ野球選手たち

3校の躍進の裏に「元プロ」の存在あり

 今夏の甲子園は大阪桐蔭の優勝で幕を閉じた。開幕戦ではセンバツ優勝校の京都・龍谷大平安を埼玉・春日部共栄が撃破。愛知・東邦では1年生右腕の藤嶋健人がバンビ2世と呼ばれ、雄叫び投球をするなど、注目を浴びた。新潟・日本文理もベスト4に進出。2009年の準優勝高校でもあり、新潟へ深紅の優勝旗が届くのも時間の問題だろう。

 これらの3校には、2013年に制定された元プロ野球関係者による高校球児らの指導を可能とする資格回復制度によって、コーチに就任した「元プロ」がいる。

 春日部共栄は、西武ライオンズや横浜ベイスターズで活躍した土肥義弘氏(37)が今年の5月から投手コーチとなり、定期的に指導していた。1993年に春日部共栄のエースとして、甲子園に出場。決勝まで進出し、元オリックスの大村直之氏のいた兵庫・育英に惜しくも敗れたが、準優勝を収めている。

 土肥氏は理論派の投手で、現役引退後は解説者としても活動。プロ野球のラジオ中継での鋭い分析はリスナーからも定評があった。その技術論を今夏戦った春日部共栄投手陣に注入。一番力を発揮したのがエースで同じ左腕の金子大地だった。

 春日部共栄の関係者は「土肥コーチから金子は技術以上のものを教わった」と語っている。技術を身につけたことで自信が生まれ、その自信が度胸と負けん気の強さにつながったという。

 金子は土肥氏から足の歩幅をこれまで以上に大きくとり、直球の威力をつけることを指導され、決め球にストレートを使った。捕手の守屋元気は「配球は目の錯覚。ストライクを先行させろ」と習い、打者心理を読んでウラを欠く配球を学んだという。バッテリーの努力と研究によって、王者を1点に抑えることに成功し、勝利に結びつけた。

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